物流情報の専門誌「カーゴニュース」の「中小トラック運送業者の重点戦略」レポートに、弊社の記事が掲載されました。
運送の品質と安全を確保し、お客様の利便性を高めるための取り組み、物流センター開設計画など新たな構想についてもご紹介いただいています。ぜひご一読ください。
カーゴニュース 2020年(令和2年)7月30日 第4882号 掲載内容
安定輸送実現へ鉄道の活用を本格化
物流センター計画し、リードタイム調整も
関西を中心とした輸出入貨物の取り扱いが主体のミナミ(本社・大阪府阪南市、南光男社長)では、「高品質な運送を適正な価格でお届けする」をモットーに、“提案型営業”を展開。顧客に最適で、かつ運送業者にとっても無理のない持続的な物流の仕組みを提案している。トラックドライバー不足が深刻化する中で安定輸送を実現するため、輸送モードの選択肢のひとつとして鉄道の活用を本格化。今後はリードタイムの調整機能を担う物流センターの開設も計画している。
関空、大阪港の貿易貨物の取り扱いが主体
米穀類卸販売、米穀類小売業の「南光商店」として創業し、1992年に有限会社として「ミナミ」を設立。93年の記録的冷夏による米不足が引き起こした「平成の米騒動」や99年の輸入自由化、2004年の改正食糧法に伴う流通自由化を経て、米の卸販売・小売業の環境が厳しくなる中で、新たな事業としてトラック運送業に着目した。
南昌憲取締役は前職の大手運送会社での勤務経験を活かし、05年に一般貨物自動車運送業の許可を取得。トラック5台からスタートした。当初は関西国際空港着の生鮮食品の輸送が主体で、のちに一般貨物に取り扱いを拡大。大阪港発着の国際海上コンテナ輸送にも参入した。現在、車両数は26台体制となっている。
創業事業である米の卸販売・小売業と運送事業の売り上げ比率は、開始から5年後には反転。現在は売上高全体に占める運送事業の割合は8割となっている。運送事業は“後発”だが、労務管理や車両整備に含めたコンプライアンスを徹底。ドライバーの拘束・残業時間をデジタコで管理し、「基本給+残業+無事故手当」の給与体系を整備している。
また、貿易貨物のスポット輸送に特化し、自車は3〜4割に抑えて地場の配送を担当し、長距離輸送は協力会社に委託している。車両台数やドライバー数を増やすにも規模には限界があるため、パートナー企業とともに「強靭な運送ネットワーク」を構築し、顧客のニーズにきめ細かく応えていく戦略だ
鉄道を活用した安定したサービスで差別化
後発だが価格競争とは常に一線を画してきた。「価格競争で勝ち得た仕事の中から企業が利益を確保すると、ツケはドライバーに回り、結果として過重労働による健康被害、事故の多発と悪循環を招く」(南取締役)。下請け意識から脱し、「高品質なサービス」と「適正価格」の両立を可能にする提案営業に注力した。
南氏によると「運送業者は無数にあり、ドア・ツー・ドアのサービスはできて当たり前」だが、トラックドライバー不足が深刻化する中で、他の輸送モードも駆使した安定したサービスは運送業者として差別化につながる。そこで、第二種利用運送事業(鉄道)をこのほど取得し、鉄道の活用を開始した。
「たとえば、着時間指定を“朝一”でなく“午前中”あるいは“昼一”に緩和してくれれば、鉄道を利用できる貨物もある。『どうしたらできるか』を顧客に提案しなければならない」。着時間によって料金設定を変えるなど運送業者側が受注の仕方を工夫することで、結果として顧客の安定輸送への貢献につながる。 来年の東京五輪対策としても、鉄道輸送を積極活用していく方針。東京湾の混雑を回避し、大阪港で揚げ、20ftのまま、あるいは12ftコンテナに積み替えて東京の届け先に輸送することを想定。20ftの国際海上コンテナと12ftの鉄道コンテナの両方を積むことができるシャーシを保有しているため、効率的な拠点間輸送を実現できる見込みだ。
すべての輸送モードに対応できる企業に
「会社の規模は小さくても、航空も海上も鉄道もすべての輸送モードに対応できる企業でありたい」と南氏。同社がリードタイムをコントロールし、輸送モードを柔軟に選択できるように在庫機能を持つ物流センターの開設を計画している。災害時に備えて、顧客に在庫の2拠点化を提案し、拠点間輸送を担う構想もある。
「年内には道筋をつけ、2〜3年後には、800〜1000坪クラスの物流センターを形にしたい。関空、大阪港、百済貨物ターミナル駅からアクセスがよく、阪南を拠点としているドライバーも集まれるような立地を想定している」。物流センターを持ち、荷物の“出荷者”となることで提案営業の幅を広げ、顧客満足度のさらなる向上を目指す。